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広告アカウントの命名規則|キャンペーン名を揃える設計例

(運営:株式会社adding編集方針

広告アカウントの命名規則は、名前の見た目を整える作業に見えます。しかし実務で必要なのは、複数案件をまたいでも「誰の、何の、どの期間の、どの施策か」を迷わず判別できる状態です。キャンペーン名に媒体名や商材名を思いつきで足していくと、管理画面では読めても、レポート、定例資料、社内レビュー、引き継ぎで同じ意味に戻せなくなります。

最初に決めるべきことは、名前の見た目ではありません。案件を識別する項目、配信設計を識別する項目、運用上の状態を識別する項目を分け、並び順を固定することです。たとえば「クライアント略称、国・地域、開始年月、媒体、目的、対象、施策、版」のように、名前を読む順番をチームで揃えます。

ただし、命名規則だけで運用は安定しません。Google広告のようにアカウント、キャンペーン、広告グループの階層がある媒体では、どの階層に何を書くかを決めなければ、長い名前を付けても情報が重複します。名前に詰め込む情報と、管理画面やレポート側で持つ情報を切り分けることが条件になります。

広告アカウントの命名規則は、媒体の階層に合わせて決める

2026年7月21日時点で確認したGoogle広告ヘルプでは、Google広告はアカウント、キャンペーン、広告グループの3層で構成されると説明されています。アカウントにはログインや支払いに関わる情報があり、キャンペーンでは予算や掲載先を設定し、広告グループでは同じテーマを持つ広告やキーワードをまとめます。

この階層を無視して名前を決めると、キャンペーン名と広告グループ名に同じ語が何度も入り、肝心の違いが見えなくなります。命名規則は、階層ごとに役割を分けるほど扱いやすくなります。

  • アカウント名: クライアント、ブランド、請求・管理単位が分かる名前
  • キャンペーン名: 配信目的、媒体種別、対象範囲、期間、施策単位が分かる名前
  • 広告グループ名: キーワード群、オーディエンス、商品カテゴリ、訴求軸など、キャンペーン内の分け方が分かる名前
  • 広告名・アセット名: クリエイティブの型、訴求、サイズ、版が分かる名前

この分担にすると、キャンペーン名は「施策を管理する名前」になり、広告グループ名は「配信の中身を比較する名前」になります。情報を階層ごとに置けば、後からレポート軸を作るときも整理しやすくなります。

公式仕様と運用設計例を混ぜない

命名例を作るときに注意したいのは、媒体が定める仕様と、代理店内で使う運用ルールを混ぜないことです。Google Ads APIのキャンペーンリソースでは、campaign.nameは新規キャンペーン作成時に空にできず、null文字、改行、復帰文字を含められない項目として説明されています。これは公式仕様です。

一方で、「媒体目的商品_年月」のような並び順は、代理店や事業会社が複数案件を管理しやすくするための運用設計例です。Google広告や他媒体が定めた標準ではありません。チームで合意して使うためのたたき台として扱ってください。

Google広告のMCCアカウントでは、管理下のアカウントにキャンペーンを作成し、予算、ステータス、名称を変更できると公式に説明されています。また、MCC上ではマネージャーアカウント名やクライアントアカウント名を変更でき、クライアントアカウントにアクセスできるユーザーもアカウント名を変更できるとされています。名前は運用中に変わり得る項目です。だからこそ、変更ルールまで含めて決めておく必要があります。

キャンペーン名は「読む順番」を固定する

複数案件を迷わず管理したいなら、キャンペーン名の情報量よりも、読む順番を固定するほうが効きます。名前の先頭に毎回違う種類の情報が来ると、一覧画面で並べ替えたときに案件単位でも目的単位でも見づらくなります。

運用設計例として、次のような並びを基準にできます。

CLIENT__REGION__YYYYMM__MEDIA__OBJECTIVE__TARGET__THEME__VNN

それぞれの意味は、次のように定義します。

  • CLIENT: クライアントやブランドの略称
  • REGION: 配信国、地域、店舗群などの対象範囲
  • YYYYMM: 開始年月または管理上の施策月
  • MEDIA: Google検索、P-MAX、Meta、Yahoo!検索などの媒体・配信種別
  • OBJECTIVE: Lead、EC、App、Awarenessなどの目的
  • TARGET: 指名、非指名、商品カテゴリ、オーディエンスなど
  • THEME: キャンペーンの企画名、訴求、検証テーマ
  • VNN: v01、v02のような版管理

この並びは、名前だけで分析を完結させる仕組みではありません。最低限の識別子を揃え、スプレッドシート、Looker Studio、定例資料、社内レビューで同じ単位を参照できるようにするための共通語です。

命名例は短さよりも、欠けた時に困る情報で選ぶ

命名規則を短くしすぎると、一覧では読みやすくても、月次レポートや引き継ぎで文脈が落ちます。逆に長すぎると、管理画面で後半が見えず、運用中に確認されなくなります。判断基準は「その情報が欠けると、誰が困るか」です。

たとえば、以下は運用設計例です。

ACME__JP__202607__GSA__Lead__NonBrand__ServiceA_CostReview__v01

この名前からは、ACMEというクライアント、国内向け、2026年7月管理、Google検索広告、リード獲得、非指名、ServiceAの費用見直し施策、初版という意味を読み取れます。命名の考え方を説明するためのサンプルなので、成果データや実案件の再現と読まないでください。

広告グループ名は、キャンペーン名と同じ情報を繰り返さず、キャンペーン内の比較軸に寄せます。

KW_NonBrand_Compare

KW_NonBrand_Price

KW_NonBrand_Problem

同じ非指名キャンペーンの中でも、比較、価格、課題のように検索意図が分かれていれば、広告グループ名はその違いを示す場所になります。キャンペーン名と広告グループ名を合わせて読んだときに、重複が少なく、足りない情報を互いに補える状態が目安です。

アカウント名には請求・権限・所有の文脈を残す

広告アカウント名は、キャンペーン名より変更頻度が低く、請求や権限管理の確認にも関わります。MCCやマネージャーアカウントで複数社を扱う場合、ブランド名だけでは足りないことがあります。似たブランド名、複数事業部、別法人の請求、休眠アカウントが混ざると、名前の曖昧さがそのまま確認工数になります。

アカウント名の運用設計例は、次のように情報を絞ります。

ACME株式会社__BrandA__JP__OwnerClient__Active

ここでは、正式な法人名をどこまで入れるか、ブランド名をどこまで入れるか、運用状態をどう表すかを先に決めます。Google広告ヘルプでは、新規作成したアカウントの名前にURLを使用できなくなる旨も案内されています。URLを識別子代わりにするより、社内で管理できる略称や法人名を使うほうが変更に強くなります。

命名規則は、媒体管理画面だけで閉じません。請求確認、権限棚卸し、退職者対応、クライアントへの説明で同じ名前が使われるため、アカウント名には施策名よりも所有と管理の情報を優先します。

レポートと定例資料に残る名前まで設計する

運用担当者が管理画面で名前を理解できても、レポート上で別名に変わると、命名規則の価値は半減します。キャンペーン名、レポートの表示名、定例資料の施策名、社内チケットの件名が少しずつ違うと、同じ施策を追っているはずなのに確認が増えます。

レポート側では、キャンペーン名をそのまま見せるか、分解した項目で見せるかを決めます。広告レポートを自動化する方法で扱うように取得条件と数字の意味を固定したうえで、命名した施策と集計単位が対応しているかも確認します。クライアント向け資料では、ACME__JP__202607__GSA__Lead__NonBrand__ServiceA_CostReview__v01をそのまま載せるより、「ServiceA 非指名検索広告 費用見直し」のように読み替えたほうが伝わる場合があります。元のキャンペーン名と表示名の対応表があれば、社内用とクライアント向けの言葉を分けても追跡できます。

広告代理店のAI活用や運用DXを考える場合も、名前の揺れは小さな前提として効いてきます。レポートコメント、クライアント定例、SNS企画、チーム標準化の下書きをAIで作るなら、入力されるキャンペーン名や施策名が揃っているほど、確認すべき候補を整理しやすくなります。AIは公開・出稿・納品の最終判断を担わず、判断前の草案や候補整理を支援する位置づけです。関連する考え方は、広告代理店のAI DXでも整理しています。

変更ルールを決めない命名規則は崩れる

命名規則は、初回作成時よりも変更時に崩れます。キャンペーンを複製したとき、施策月が変わったとき、対象地域が増えたとき、クライアント都合で名称が変わったとき、誰がどこを直すのかが曖昧だと、v01とv02の意味も分からなくなります。

変更ルールは、次の程度まで決めておくと運用に乗せやすくなります。

  • 配信開始前の修正は同じ版で直す
  • 配信開始後に目的や対象が変わる場合は版を上げる
  • 誤字修正や表記統一は変更履歴に残して、効果比較の単位は変えない
  • 終了、停止、検証中などの状態は、名前に入れるかラベル・ステータスで管理するかを統一する
  • 複製キャンペーンは、元名を残すか新しい施策名に置き換えるかを決める

このルールがないと、名前は現場の善意に依存します。誰かが気を利かせて直した名前が、別の人にとっては追跡不能な変更になることもあります。

チームで使うための最小ルール

命名規則を細かく作りすぎると、守ること自体が目的になります。最初から全媒体、全キャンペーンタイプ、全レポート形式を完全に揃えようとせず、まずは迷いが起きやすい箇所に絞るほうが定着します。

最小ルールは、次の5つで十分です。

  • 区切り文字を1つに統一する
  • 項目の並び順を固定する
  • 省略語の辞書を作る
  • 階層ごとに書く情報を分ける
  • 変更時の版管理を決める

この5つが揃うと、担当者が変わっても、一覧画面、レポート、定例資料で同じ施策を追いやすくなります。逆に、媒体ごとの細かな表記まで決めても、上の5つが曖昧なら運用は揺れます。

名前は、判断を早めるための設計にする

広告アカウントに命名規則を設ける目的は、名前を美しく揃えることではありません。複数案件を見たときに、担当者、マネージャー、レポート作成者が同じ施策を同じ単位で判断できるようにすることです。

2026年7月時点で確認したGoogle広告の公式情報から見ても、アカウント、キャンペーン、広告グループにはそれぞれ役割があります。運用側の命名規則は、その公式階層に沿って、どの情報をどこに置くかを決めるものです。命名例は運用設計例であり、媒体仕様として確認できる制約とは分けて扱う必要があります。

複数案件を迷わず管理するには、名前にすべてを詰め込まず、階層、レポート、変更履歴に情報を分担させます。キャンペーン名は施策の識別に寄せ、広告グループ名は比較軸に寄せ、アカウント名は所有と管理に寄せる。そこまで決めて初めて、複数案件を迷わず管理できる命名ルールになります。

参考にした公式情報: Google 広告の構成についてMCC アカウントでキャンペーンを作成、管理するMCC アカウントでアカウント名を変更するGoogle Ads API Campaign resource

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