広告レポートコメントの書き方|事実・要因候補・次月施策の例文
広告レポートのコメントは、数字を文章へ置き換えるだけでは足りません。読み手が知りたいのは、何が起きたか、なぜ起きた可能性があるか、次に何をするかです。この三つを分けて書くと、根拠のない断定を避けながら、次の行動まで伝えられます。
たとえば「CPAが前月より悪化しました。改善に努めます」では、悪化の大きさも、見るべき原因も、実施する施策も分かりません。一方で、数値をすべて説明すると、重要な変化が埋もれます。コメントを書く前に、説明する数字を選ぶ必要があります。
本記事では、月次コメントを事実、要因候補、確認事項、次月施策の順で組み立てます。データ取得から提出までの流れを見直す場合は、先に広告レポートを自動化する方法をご覧ください。広告代理店でのAI活用全体は広告代理店のAI活用・DX入門で整理しています。
コメントを書く前に、説明する数字を三つまで選ぶ
レポートに載っているすべての指標へ文章を付ける必要はありません。最初に、クライアントの目標から見て重要な変化を選びます。
選ぶ基準は次の四つです。
- 目標値との乖離が大きい
- 前月や通常時からの変化が大きい
- 予算や成果への影響が大きい
- 次の施策判断につながる
CPAが目標内で安定しているのに、表示回数の小さな変化を長く説明しても、意思決定にはつながりません。反対に、成果数が減ったなら、CPAに加えて「流入が減ったのか」「流入後の成約率が下がったのか」を分けて見ます。
Google広告のレポートエディタでは、必要な列や行を選び、表やグラフとして保存・共有できます(Google広告ヘルプ「カスタムレポートを作成する」)。取得できる指標を全部並べる前に、今回の問いに必要な切り口を選びます。
最初の一文には、比較条件を含む事実を書く
コメントの冒頭では、評価や原因を入れず、確認できる事実を書きます。期間、比較対象、指標、変化が一文で分かる形にします。
悪い例は「CPAがかなり悪化しました」です。「かなり」が担当者の感覚であり、いつと比べたのかも分かりません。
改善例は次のようになります。
7月のCPAは前月比で上昇し、設定している目標CPAを上回りました。成果数は減少した一方、広告費は前月と同程度でした。
実際の記事やレポートでは、確認済みの具体的な数値を入れます。ただし、媒体管理画面と社内集計で定義が違う場合は、比較条件を先にそろえてください。速報値なら、その旨も明記します。
「好調」「不調」だけで始めず、何を根拠にそう判断したのかを読者がたどれる状態にします。
要因は、事実と候補を別の文にする
数字が同時に動いていても、因果関係が確定するとは限りません。CTRが下がった月にCPAも悪化したからといって、CTR低下だけが原因とは限らないからです。CVR、CPC、配信先、計測、在庫など、別の要因も考えられます。
要因を書くときは、次の三段階に分けます。
| 区分 | 書く内容 | 表現例 |
|---|---|---|
| 確認済み | 管理画面や施策履歴で確認できたこと | 「指名系キャンペーンの予算を月中に変更しました」 |
| 要因候補 | 数値から考えられる仮説 | 「一般語のCPC上昇がCPAへ影響した可能性があります」 |
| 未確認 | 結論に必要だが不足している情報 | 「フォーム到達後の離脱状況を確認します」 |
「〜が原因です」と断定するのは、施策履歴や追加データで確認できた場合だけです。確かめていない内容は「可能性」「候補」と明示します。担当者が次に確認する項目まで示せば、結論を急がずに調査を進められます。
次月施策は、対象・変更・確認指標まで書く
「広告を改善します」「クリエイティブを見直します」では、翌月に実施したかどうかを確認できません。施策コメントには、少なくとも対象、変更内容、確認指標を入れます。
一般語キャンペーンのうち、費用が増え成果につながっていない検索語句を確認し、除外候補を整理します。変更後は検索語句別の費用と成果数を週次で確認します。
この文なら、誰が何を見るべきかを決められます。実行前にクライアントの承認が必要な場合は、「次回定例で合意したい」「承認後に実施する」と書き添えます。
施策は数を増やすより、今回の変化とのつながりを説明することが重要です。優先順位を付け、翌月に結果を振り返れる粒度にします。
指標ごとに、見る順番を変える
同じ型を使っても、指標によって確認する場所は違います。次の表は、コメントを書く前の確認例です。
| 主な変化 | 最初に確認すること | 要因候補の例 | 次の行動例 |
|---|---|---|---|
| CPA上昇 | CPCとCVRのどちらが動いたか | 競争環境、流入の質、LP、計測 | 影響の大きい区分を特定する |
| CTR低下 | 広告別、配信面別の差 | 訴求の陳腐化、対象とのずれ | 広告文・素材の仮説を作る |
| CVR低下 | デバイス、LP、時間帯の差 | ページ変更、在庫、フォーム不具合 | 計測と導線を確認する |
| CPC上昇 | キーワード、地域、配信面の差 | 入札、競合、対象拡大 | 高騰区分と成果を並べる |
| 成果数減少 | 予算消化、流入数、CVR | 配信量、需要、計測 | 量と率を分けて調べる |
この表は原因を自動確定するものではありません。担当者が次に確認する場所を選ぶための入口です。広告主側の価格変更や休業日など、媒体外の出来事も合わせて見ます。
AIには、コメントより先に事実と不足情報を出させる
AIへ「この数字を分析してレポートを書いて」と頼むと、与えていない施策や市場状況を補ってしまうことがあります。先に次の順で出力させると、確認しやすくなります。
- 入力表から読み取れる事実
- 追加確認が必要な情報
- 要因候補と、その根拠に使った指標
- 次月施策の候補
- クライアント向けコメントの草案
広告レポートのAI運用支援では、AIが整理した草案を、担当者が元データ、施策履歴、顧客事情と照らし合わせて仕上げます。直した箇所を残せば、次回から確認項目として再利用できます。
提出前には、数字の一致、比較期間、事実と仮説の区別、顧客固有の表現、実施可能な施策かを人が確認します。
曖昧なコメントを一つ書き直す
直近のレポートから、「好調でした」「悪化しました」「改善します」と書かれたコメントを一つ選んでください。その文を、次の四行に分けます。
- 比較条件を含む事実
- 確認済みの施策や出来事
- 要因候補と未確認事項
- 対象・変更・確認指標を含む次月施策
一つのコメントで型ができたら、次の月も同じ順番で材料をそろえます。文章をうまくする前に、事実と判断の境界をそろえることが、伝わる広告レポートへの近道です。
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